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腕時計の基本的な使い方
1クォーツ式時計と機械式時計の違い
2機械式時計の取扱いについて
機械式時計は繊細で複雑な為、衝撃、磁気、温度、湿度変化等の使用状況や生活環境によっても影響を受けます。 定期的にメンテナンスを行い正しい知識と愛着をもってご使用いただければ、長年にわたって時を刻み続けることができます。
機械式時計の精度の要は約0.1mmに満たないひげゼンマイです。 ひげゼンマイを含めた時計内部のデリケートな部品の破損を防ぐ為、野球、テニス、ゴルフ等の腕に強い衝撃がかかるスポーツをする時は機械式時計をはずして下さい。また、落下や激突による強い衝撃にも十分にご注意ください。
クォーツ時計、機械式時計の両方に当てはまりますが、時計は金属で出来ています。そのため磁気の影響を受けて正常に時間が合わなくなることがあります。磁石そのものは勿論、磁気ブレス、ハンドバッグの留め具、オーディオをはじめとしたスピーカー類(テレビや、パソコン携帯電話などのスピーカーも含む)や、電子レンジ等の強い磁気を発する電化製品の近くに大切なお時計を置かないで下さい。 一般的に60ガウス以上で影響が出始めると言われています。
例 ドライヤー / 10ガウス 電話機 / 50ガウス テレビ等のスピーカー / 30ガウス ステレオ等の大型スピーカー / 100ガウス 電気式毛布・磁気ブレスレット等の健康器具 / 700~1000ガウス
金属本来の特性で、温度により膨張縮小いたします。 暑いところではひげゼンマイが伸びて遅れがちになり、寒いところではひげゼンマイが縮んで進みがちになります。
3時計各部の名称
4防水性能について
防水時計やダイバーズウォッチなどは、リューズがネジ込み式になっているものや、レバーにより固定することで防水性能をより高めているものがあります。 用途に合わせ、3気圧・5気圧・10気圧・20気圧・30気圧または30M・50M・100M・200M・300Mなどの性能目安が設定されています。 防水ロックを解除すると、時間調整などの操作ができるようになります。時刻や日付の調整後、また、水に浸かるようなご使用をされる前には、必ず防水ロックの確認を行ってください。
※ 中古品、アンティーク品は経年劣化の為、新品当時の防水性能を備えていない時計もございますのでご使用の際はご注意下さい。 ※ 防水時計でも、お風呂や温泉でのご使用は避けて下さい。内部の油が拡散し、機械及び文字盤、針などの劣化の原因となります。
右図を参考に矢印の方向にリューズを回転させると、スクリューロックが解除されますので、リューズによる時計の操作が可能になります。
※スクリューロック式リューズのマークの位置は、ロックをしたときに必ずしも正面を向くわけではありません。
5手巻き式時計と自動巻き式時計の違い
手巻きの時計をお使いになるときは、出来るだけ毎日同じ時間帯に、リューズを矢印の方向にゆっくり回してゼンマイの巻上げを行います。巻き止まり(これ以上巻き上げられない状態)まで巻き上げましたら、逆方向に3回ほど回して下さい。秒針が動き出しますので時刻を合わせてお使い下さい。巻き上げは毎日同じ時間帯で行う方が、時計の精度が安定する傾向があります。
※ 巻き止まりから無理に巻き上げをおこなうと、ゼンマイが切れるなど故障の原因となります。ご注意ください。 ※ 手巻き式の時計には一部巻き止まりが無い製品があります。詳しくはスタッフまでお問い合わせ下さい。
自動巻きの時計をお使いの場合でも、完全に停止した状態から時計をお使いになるときは、手巻き式時計と同様に、リューズをゆっくり回してゼンマイの巻上げを行って下さい。秒針が動き出しますので時刻を合わせてお使い下さい。以降は装着した腕の動きにより機械内部の巻上げ装置が駆動し巻き上げられます。 装着時間が短かったり、装着される方の運動量が極端に少ない場合、ゼンマイの巻上量不足、トルク不足により著しく精度が不安定になったり、止まってしまう場合がありますので、自動巻きのお時計でもご使用前に40~50回ほど手巻きで巻き上げてからお使いいただくと安定して作動いたします。作動時間(パワーリザーブ)はモデルや年代・個体によっても異なりますが、最大に巻き上がっている状態で平均的に約30~50時間の作動を続けます。
6時刻、日付の合わせ方
① 防水ロック式リューズの場合、図①の位置で防水が有効となります。通常使用時はこの位置でお使い下さい。 ② 防水ロックを解除した状態 図②の位置でゼンマイを巻き上げることが出来ます。防水ロックなしの場合は図①の位置でゼンマイを巻き上げることができます。 ③ リューズを図③の位置まで引くと日付(及び曜日)が早送り出来ます。 ④ リューズを図④の位置まで引きますと、秒針が停止※1し、回しますと時刻合わせが出来ます。この際、時計回りに針を動かして下さい。
※1 リューズ操作により秒針を停止させる機能をハック機能といいます。 ハック機能(秒針規制)付きの時計をお使いの場合、図④の位置までリューズを引いた時点で、秒針が止まります。 この機能を利用して、0秒の位置で秒針を停止させ、時報などを参考に再度リューズを図②の位置まで押し込み、秒針を始動させ正確な時刻に合わせます。 ハック機能の無い時計の場合、図④の位置までリューズを引いて少し反時計回りに回しますと、秒針の動きが停滞する場合があります。この動作を利用して秒の調整を行って下さい。 場合によっては秒針の動きが停滞しない個体もございます。 防水時計の場合、時間を合わせ終わりましたら、必ず図①の位置にリューズをねじ込み、ロックをしてご使用下さい。 モデルによっては、図③と図④のポジションが逆の製品もございます。詳しくはスタッフまでお問合せ下さい。
カレンダーが切り替わる午前0時を挟んで前後4時間(20時〜4時)の間に短針があるときに、上記③の方法での日付の早送り操作を致しますと故障の原因となりますのでご注意下さい。
7クロノグラフのご使用方法
ストップウォッチ機能が組み込まれた時計をクロノグラフと呼びます。クロノグラフは主にカーレース、ヨットレース等での使用を目的としていますが、技術者、科学者、医師にも広く利用されています。
クロノグラフの場合、[A]の針が計測用のクロノグラフ秒針で、[E]のプッシュボタンを一度押しますと[A]のクロノグラフ秒針が動き出します。[A]が一周しますと、[G]の30分積算計が1メモリ動きます。 [G]の30分積算計が一周しますと、[C]の12時間積算計が1メモリ動きます。 [A]のクロノグラフ秒針が作動中に、[E]のプッシュボタンを一度押すと、[A]のクロノグラフ秒針が停止します。更に[H]のプッシュボタンを押しますと[A]のクロノグラフ秒針がリセットされ0秒の位置に戻ります。 フライバック機能付きクロノグラフの場合は、[E]のプッシュボタンを一度押して[A]のクロノグラフ秒針を動かした後にHのプッシュボタンを押すと、[A]のクロノグラフ針が0時の位置に戻ると同時に再スタートします。この機能は連続して計測する場合に便利な機能です。
※ フライバッククロノグラフ以外の通常のクロノグラフで同様の操作を行うと故障の原因となる場合がございますのでご注意下さい。 ※ クロノグラフのプッシュボタン操作は水中では絶対に行わないで下さい。スクリュー式プッシュボタンの場合は、防水時計のリューズ操作同様に、ロックを解除した上で操作が可能です。ロック解除時は時計内部への水分の浸入にご注意下さい。ご使用後は必ずロックしてお使い下さい。 ※ クロノグラフ針を通常の秒針代わりに常時作動させることは避けて下さい。トルクが減少することにより精度に影響を与えてしまう事がございます。また、長期にわたってクロノグラフの機能を使用しない場合、内部の機械油の固着等の原因でクロノグラフが正常に作動しなくなる場合がございます のでご注意下さい。
タキメーターベゼルの読み方
例1:平均時速算出 車がスタートするのと同時にEのプッシュボタンを押しクロノグラフをスタートさせます。車が1kmを通過した所で再度Eのプッシュボタンを押しクロノグラフ秒針をストップさせます。クロノグラフ秒針が示している、Iのタキメーターベゼルの数字が平均時速を指しています。例えば、1km走るのに40秒かかったとします。ベゼルの表示は90ですので、時速90kmとなります。
例2:機械の生産効率の計算 機械が、製品を1時間に何個生産できるかを計測したいときは、クロノグラフをスタートさせ、製品1個あたりの生産に要した時間をクロノグラフで計測します。1個につき30秒かかったとするとクロノグラフ針が示している、Iのベゼルの数字が1時間あたりの生産個数ですので、120個生産可能となります。
※例1、例2のような計測をする場合、計測時間は10~60秒の範囲で行って下さい。
8GMT機能(ツータイムゾーン表示)のご使用方法
リューズを日付変更のポジション(項目6番参照)に合わせ回すことによって、時針(短針)のみ独立して可動させる事が可能で、時差の設定が可能です。(2周に1回日付が切り替わります) 例えば、朝10時10分に東京を発ってロンドンへ向かうとします。 (図1)時計をロンドン時間に合わせる場合、短針を時差分(マイナス9時間ですので反時計回りに9時間)回します。(図2)この時、文字盤上に長短針が示す時間がロンドン時間で、午前1時10分です。回転ベゼルの▽のマークを文字盤の12時の位置に合わせると、GMT針が示す回転ベゼル上の時間が日本時間午前10時10分となります。※ここまではエクスプローラーⅡも同様の機能です。 さらに、ベゼルを回転させて時差のセットを行うと、第3の場所の時間も知ることが出来ます。例えばニューヨーク時間を知りたい場合、時計回りに14時間分(東京とニューヨークの時差は-14時間)ベゼルを回します(図3)、ベゼル上の表示がニューヨーク時間で27日の午後8時(20時)10分を示しています。
※ 短針とGMT針を同期させるには、先ず、GMT針を24時の位置に合わせ、続いて短針を当日の日付に変わった午前0時に合わせます。更に時刻を現在の時刻まで進め合わせます。
9ダイバーズウォッチのご使用方法
サブマリーナやシードウェラー等のダイバーズウォッチは、潜水時間を計測する為の逆回転防止ベゼルを装備しています。 図1のようにベゼル上の ▽マークを長針(分針)の位置に合わせます。 図2のように、時間が経過して長針がベゼル上の数字30を指していれば30分経過したということが読み取れます。日常生活においても、経過時間を計測するのに有効な機能です。
逆回転防止ベゼルとは、潜水時間を誤って長く計測しない為に、一方向のみに回転するようになっています。アンティーク等の回転ベゼルはこの機能を備えていないのでご注意下さい。
一部のプロフェッショナル仕様のダイビングウォッチ(ROLEX シードウェラー等)は、ヘリウムガス排出用バルブを備えています。 こちらはヘリウム飽和潜水という特殊な潜水方法を行った場合、ヘリウムガスが時計内部に侵入し、潜水浮上時に時計の内圧が上がりクリスタル(ガラス)が吹き飛んでしまう事故を防止する為の機構です。
※ヘリウムガス排出用バルブの位置・形状は、メーカーやモデルにより異なります。
海水でご使用になった場合、水道水で洗ってよく水分を拭き取ってください。
10故障では?と思う前に
ステンレススティールは錆びにくい材質ですが、汗や水分汚れが長期間付着した状態になるとさびが発生します。ブレスレットのコマの間、留め金の裏、ガラスとベゼルの間、ケースとリューズの間など汚れの溜まりやすい場所は柔らかいブラシや布などで汚れを取ることで、気持ちよくベストコンディションでご使用いただけます。
18K(YG、WG、PG)は75%の金と25%のその他の金属との合金です。その為、ある種の薬品や水銀によって変色したり損傷を受けることがありますのでご注意下さい。特に水銀と18Kが接した場合、化学変化によりまったく別の合金であるアマルガムとなります。水銀と合金になりやすい金属は、金、銀、銅、亜鉛、鉛、錫などがあります。
体質によって、金属または、革ベルトの染料などで、かゆみ、かぶれ等を生じる場合がございますので、皮膚に異常を感じたときはご使用をおやめいただき専門医にご相談下さい。